【感想】カブトボーグ第9話「輝け!ダイヤモンド・ダイヤモンド・ダイヤモンド」
あらすじ

 クラスメートの石田が最近宿題をしてこなくなったことを、同じくクラスメートの相馬友子から相談された勝治。どうやら、石田が宿題をしてこなくなったのは、彼の母親が不良主婦おばさんボーガーとなり、ボーセン(ゲーセンのカブトボーグ版)にたむろし、家事一切を石田がやらざるを得ず、宿題をする時間が取れないからだそうです。相馬友子からお願いされ、勝治たちは石田母を家庭に返すべく立ち上がりました。




 ボーセンへと駆けつけたリュウセイさんたち三人。しかし、入り口にたむろする不良おばさんボーガーに怯えて近付くことができません。

ケン「あんな濁った目で睨まれたの初めてだ
勝治「ロイドさんが近寄るなっていうわけだよ」


 それでもリュウセイさんは勇気を出して、おばさんたちとのコミュニケーションを図ります。

リュウセイ「つかぬことを伺いますが、どうして野菜や台所用品を持っているんですか?」
おばさんたち「これかい? 気に食わないボーガーを叩きのめすためさ」
勝治「気に食わないボーガーって……?」





おばさんたち「お前たちのことだヨォォ!!!!」

 そこに登場し、おばさんたちを一喝したのが石田母。不良おばさんボーガーたちからは「石田の姐御」と呼ばれている、不良主婦おばさんボーガーのリーダー格です。




 石田母ビフォー。




 石田母アフター。


 石田母に土下座して、「家庭に帰って下さい」と懇願する勝治。結局、二人はボーグバトルで決着をつけることになります。勝治が勝ったら石田母は家庭に帰り、石田母が勝ったら勝治、ケン、リュウセイさんの三人はボーグバトルを引退するという条件です。

 そして、始った二人の戦い。石田母はおばさんの図々しさを遺憾なく発揮し、チャージ回数を1回おまけしてもらったり、割り込みの要領で攻撃を仕掛けたり、突然試合中に休憩して相手の気勢を削いだりと悪質な戦いを仕掛けます。勝治がそのことに対し不平を訴えても、審判のロイドさんは「それがおばさんデース!」と取り合いません。






 さらに、おばさん戦術の粋ともいえるのが、彼女の必殺技ストリートバーゲンセールフラッシュ。勝治のエレクトリカルスピードワゴンの周囲にオーラで具現化させたバーゲンセール商品を配置することにより、取り巻きの不良主婦ボーガーを参戦させる(商品の取り合いに参加させる)という技です。これで勝治は、事実上5対1の戦いを強いられることになります。

 勝負は圧倒的に勝治が不利。しかし、勝利を確信し、恥も外聞もなく高笑うおばさんたちを見て、リュウセイさんは突破口を見出します。彼女たちにも若く美しい時代があったに違いない、若い頃の写真を見せれば、今の自分を恥ずかしいと思うはずだ、と。リュウセイさんたちは石田の家へと走り、石田母の若い頃のアルバムをゲットするのでした。

リュウセイ「あの頃、君は若かったー!」
ケン「石田のかあちゃーん!」
リュウセイ「若い頃の写真を見て、清らかな乙女心を思い出せー!」


 リュウセイさんが石田母へとアルバムを投げつけます。これで、石田母は昔の清らかな自分の姿を見て、今の蛮行を恥じ入るはず。ですが……




石田母「フッフッフ……。あたしの若い頃……、暴走族だったんだよ!
リュウセイ・ケン「ギエエエエー!」
ロイド「今より最悪デース!」
勝治「余計なことしないでよー!


 若くバリバリな時代を思い出して、より気合の入ってしまった石田母。彼女はさらなる必殺技ローリングスピードハイテンションを繰り出します。石田母のマシン、ゴールデンオバサンファイアーは、勝治のエレクトリカルスピードワゴンを弾き飛ばし、勝負は決まったかに見えましたが……




 なんと、まさかの勇み足! あの戦力差にも関わらず、幸運にも勝治が勝利したのです。

石田母「ボーグに勝って、勝負に負けた……」
勝治「ラッキーだったよ!


 石田母たち不良主婦ボーガーは家庭へ帰りました。ちなみに、相馬友子のお願いを叶えたことで彼女から好意を持たれることを期待していた勝治たち三人でしたが、実は相馬友子は既に石田と付き合っていて、「ありがとう! 石田君が私とデートする時間ができたわ!」とのオチがつきます。失恋した勝治はヤケ食いするのでした。


<解説>

・ボーセンと不良おばさんボーガー

 街中に普通にフィールドが設置されているこの世界で、なぜボーグのゲーセン的なものが必要なのかという疑問はさて置き、ボーグのゲーセン的なところに不良がたまっているのではなく、「おばさんが不良になってたまっている」という訳の分からない二段構えにまずは注目したいです。「おばさんが不良になる」「おばさんがボーガーになる」という二つの異常要素を掛け合わせ、さらに「ゲーセンのボーグ版」という舞台も設置。これをいきなり冒頭に持ってくる辺りが凶悪です。

 確かに、「不良がボーグをする」程度だと、この世界観的にたいしたことではないです。しかし、「おばさんが不良になる」というのは、さっぱり意味が分かりません。回想シーンの「ボーグを手にする→ボーグにハマる」の流れはともかく、どこに「不良になる」要素が入ってるのかと。舞台をボーセンに設定したからか、それとも彼女の過去が暴走族だったからか。どちらの設定を引っ張っているのかは分かりませんが、「おばさんがボーガーになった上、不良になる」というのはよく分からない着地点です。


・「おばさんの辞書に卑怯という文字はない!」

 劇中、「おばさんだから」ということで、石田母のあらゆる卑怯行為を黙認したロイドさん。これって要するに、「おばさんには何を言っても無駄」「おばさんに理屈は通じない」「おばさんがルールなど守るはずがない」って話ですよね。ロイドさん……というか、脚本の浦沢先生は毒吐きすぎじゃないでしょうか……。しかし、一方で、それらの卑怯行為を「おばさんのテクニック」と言ってることから、おばさんの図々しさなども一つの技術、つまり社会的に受け止めるべき要素であると、浦沢先生は考えているのかもしれません。……んなこたーねーかな?

 ところで、チャージの回数を増やすのとか、試合中のタイムとか、ストリートバーゲンセールフラッシュとかはともかく、割り込みヒップアタックは、あれは別に反則でもなんでもないよね?


・「ラッキーで勝った」

 浦沢義雄脚本をまじまじと感じさせる、まさに浦沢義雄なラスト。「昔のアルバムを見せて、清らかな乙女心を思い出させて勝つ」だけでも、大抵の視聴者は「なんてイカれたアニメなんだ」と思うに十分な展開です。しかし、浦沢義雄はそのレベルに踏み止まりません。「若い頃は暴走族だったんだよ!」という、更なる展開を見せて話を収束させないのです。

 このタイミングで話が収束しないんだから、当然最後まで収束しません。だから、結果的には「本当は負ける戦いだったけどラッキーで勝った」という、普通に考えたらもうどうしょうもない、下の下の下のような最悪のオチをつけてきます。しかし、こんな最悪のオチを甘んじて受け入れてまで、視聴者の裏をかこうとする展開は頭のネジが一本外れてなければできることではありません。これを見た視聴者は、「イカれてるなんてモンじゃねえ、このアニメはキチガイだ」と思うことでしょう。こんな展開を誉めていいのかどうか分かりませんが、とにかく浦沢義雄が正気ではないことは確実です。また、「ラッキーだから勝てた」のに、「執念の勝利だ」とか、「家庭を思う気持ちが〜」とか、そういう言い訳めいたことを一切言わないのが浦沢先生っぽい。本当に「ただただラッキーだから勝てた」だけなんです。男らしいのか、やる気がないのか、とにかく気が狂ってることは確かです。

 浦沢先生は、良くも悪くもまとめる気がないんですよね。とにかく、その瞬間瞬間での最大風速のみを追い求めてる。何かを解決させようとか、お話にケリをつけようとか、そういう気がほとんど感じられません。だから、「勝てるはずないけど、ラッキーだから勝てた」とか平然と言うんです。清涼院流水が、「この密室殺人の謎は解けない。なぜならこれは奇跡だからだ!」とか言うのに近いです。アニメじゃ、こんな蛮行、カブトボーグしか許されないんじゃないかなあ。

 しかし、それでも9話は、浦沢脚本の中ではまだまとめる気がある部類に入るのが恐ろしいところ。酷いのになるとバトルの途中で何一つ解決させずにプッツリ終わらせますからね。浦沢義雄は本当に恐ろしい。

【オススメ度:★★☆】


第9話 1/3



第9話 2/3



第9話 3/3



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【感想】カブトボーグ第8話「鎮魂歌!リビング・レジェンド・グッド・ナイト」
あらすじ

 例によって例のごとく死にかけている勝治。病院に搬入された勝治を追うケンとリュウセイさん。




 と、そんな二人を追い抜く(病院内なのに)ライダーの姿が……




 その正体は勝治の容態を心配して駆けつけてくれた勝治のおじいちゃんでした。

 生死の淵を彷徨っていた勝治ですが一日で退院。ケンの店、昇竜軒で、3人は勝治のじいちゃんの昔の活躍を聞きます。じいちゃんの話によると、彼は12の春から旅に出て、以来ずっと旅を重ねているそうです。そのキャリアは、

10代の頃にレーサー
30代の頃にパイロット


 その他、サッカー選手、野球選手、カウボーイ、闘牛士、ダイバー、ファイナンシャルアドバイザー、マーケティングプランナーなどの職を転々としてきたようです。ケンとリュウセイさんは、おじいちゃんの人生に素直に感心。

 しかし、そんなおじいちゃんもカブトボーグのことは知らなかったようです。勝治に連れられて訪れたロイドショップで、初めてカブトボーグを手にするおじいちゃん。ロイドさんから貸してもらった見本のカブトボーグでリュウセイさんとバトルしますが、もちろんあっさり負けてしまいます。しょうがないですよね、リュウセイさんは名の知れたカブトボーガー、対しておじいちゃんは、ついさっきカブトボーグを手に取ったばかりのズブの素人ですから。

 ですが、そんなおじいちゃんにリュウセイさんたちは……

リュウセイ「よっわー、秒殺しちゃったよ」
ケン「しょうがないよ、おじいさんだもん」
リュウセイ「なんか話は凄かったから、ちょっとはやると思ってさー」

 なんという失礼なガキどもでしょうか(まあリュウセイさんですからね)。これに、おじいちゃんもムキになってしまい、ショーケースのマシンを全て大人買い。翌日の再戦をリュウセイさんに誓うのでした。




↑商品がバカ売れして、ロイドさんスッゲー嬉しそう




 おじいちゃんは勝治と家で猛特訓して、翌日のバトルを迎えます。




 その一方、リュウセイさんは「勝治の祖母」を名乗る謎の女性と会っていました。彼女は「負けてくだーさいー」と言いながら、柳の下に消えていき、リュウセイさんは幽霊を見たと思い、恐怖に震えます。

 で、まあ幽霊の話はそれで終わって、舞台はロイドさんのお店に移り、二人の勝負が始ります。勝治の入れ知恵により、勝負はフリーオプションバトルに決定。財力があり、オプション付け放題のおじいちゃんが有利なバトルです。

 それに対し、あえてオプションを付けず勝負に挑み、「これがオレのやり方だ」というリュウセイさん。しかし、おじいちゃんは「それは違うな、キミにはそれしかないのだよ。キミはそれだけの人生しか重ねていないからだ!」と反論。リュウセイさんのポリシーを、「経験不足による可能性の限定」と決め付けたおじいちゃんの屁理屈戦術は見事です。

おじいちゃん「キミは一体いくつだね!?」

リュウセイ「十歳!」

おじいちゃん「そう。キミのボーグにはどれだけ重ねても十年分の重みしかない」

リュウセイ「な、なにィ」

おじいちゃん「私のボーグ暦は2日だ。だが、しかし! このボーグに我が生涯68年の人生の全てを託すことができる!

ケン「リュウセイの68倍!?

 ケン、違うよ。計算間違ってるよ……。

 おじいちゃんの言ってることは、「長生きしてれば何をやっても偉い」というムチャクチャなものですが、しかし、精神力で勝負が決するカブトボーグ勝負にあっては、人生経験は本当に大きな意味を持つのです。おじいちゃんのバトルを見たロイドさんによると、

ロイド「素晴らシーイ! ボーガーとしては初心者デスガ、波乱万丈の人生がバトルに活かサーレ、複雑な攻撃をキャノウにしてマース!」

 だ、そうです。

 そして、勝治のおじいちゃんは一晩で編み出した必殺技メモリアルメリーゴーランドを繰り出します。ここからは二人のメモリアル対決の勝負となります。

おじいちゃん「私が生まれた日、世界には戦争の気配が漂っていたという!」

リュウセイ「オレが生まれた日、オヤジは世界征服を思いついたという!

おじいちゃん「小学校入学の日は、遥か遠い彼方のメモリー」

リュウセイ「小学校入学の日は、朝ごはんのおかずが玉子焼きだったことを、昨日のことのように覚えている!」

おじいちゃん「小学校、一番で卒業」

リュウセイ「ううっ……」


 なんと、メモリアルメリーゴーランドのわずか三発目で、リュウセイさんには早くも語るべきメモリーがなくなってしまったのです。おじいちゃんは「これで終わりだ」と勝ち誇り、後がないリュウセイさんに更なる追撃をかけます。

おじいちゃん「中学校入学!」

リュウセイ「のわぁ……」

おじいちゃん「高校入学!」

リュウセイ「うう……」

おじいちゃん「初めてのデートはヨーロッパ!」

リュウセイ「ぬわぁ!」

おじいちゃん「結婚! 出産! 嫁取り! 初孫!





おじいちゃん「勝治! あれがお前の誕生日!」

勝治「おじいちゃん!」


 しかし、圧倒的なメモリーで叩き潰したはずのリュウセイさんが勢いを盛り返し、逆におじいちゃんのカムヒアグランドファーザーを押し返し始めるのです。

リュウセイ「確かにオレの人生にはまだ10年の重みしかない。だけどオレには未来がある。いつまで続くか分からない、無限の未来が! 爺さんは思い出を語るだけだが、オレは未来を語るんだ!

 そして、レッドアウトゴールデンマキシマムバーニングに乗せて、リュウセイさんの怒涛の将来設計が語られるのです。

リュウセイ「15のオレ、ボーグバトルをやっている!」

リュウセイ「20のオレ、ボーグバトルチャンピオン!」

リュウセイ「30! 連続防衛記録更新!」

リュウセイ「40! さらに更新!」

リュウセイ「50のオレ! ボーグバトル永世名人!

おじいちゃん「その根拠はどこにある!」

リュウセイ「根拠はなくとも自信はある! 58のオレ、ボーグバトル世界統一チャンピオン! さあ、どうだ!」


 これで、おじいちゃんのメモリーを後10年まで追い詰めました

リュウセイ「60のオレはボーグバトルでオヤジと最終決戦!




 ↑ビッグバン、もう90歳くらいですよ。腰曲がりすぎ。

リュウセイ「オレの勝利!」

勝治「うわぁ、おじいちゃんの想い出が、もう残り少ない!





リュウセイ「68のオレ! ボーグバトルで息子を叩きのめす!」




リュウセイ「80のオレ! ボーグバトルで孫を叩きのめす!」

 勝治のおじいちゃんもリュウセイさんに対抗して80の自分を語ろうとしますが、「80のことを考えると不安を覚える年頃」なので、とても語ることができません。しかし、子供のリュウセイさんには希望しかなく、いくらでも未来を語ることができるのです。

リュウセイ「100のオレ! ボーグバトル皇帝宣言! これによって共和国が反乱を起こし、帝国に激震が走る!

 100の自分をとても想像できないおじいちゃんはついに戦意を失い、リュウセイさんに敗れるのでした。

 敗れたショックで死んだかと思われたおじいちゃんですが、生き返って、「私も100まで生きてボーグバトルを極めてみせよう」と誓います。

リュウセイ「さすが勝治のじいさんだ!」
ケン「ゾンビ一家だ……」

 最後は、リュウセイさんが勝治のおばあちゃんの幽霊を再び目撃して、腰が抜けてジ・エンド。


解説

 今回で一番アツイのは、やはりメモリアルメリーゴーランドに対抗したリュウセイさんの将来設計でしょう。特に後半、齢90に達して腰の曲がってるオヤジを最終決戦で下しながらも、息子には決して勝ちを譲らず、それどころか小さな孫まで圧倒的な力で叩き伏せようとするリュウセイさんは、本当にリュウセイさんらしいです。リュウセイさんって、弱った老人や小さな子供を叩きのめす姿がすごく似合うんですよね。

 将来設計ラストの、

リュウセイ「100のオレ! ボーグバトル皇帝宣言! これによって共和国が反乱を起こし、帝国に激震が走る!」

 という、これは、齢100歳を超えてなお、逆境に身を置くことを恐れないという決意の表れかもしれません。100歳で政情不安定な帝国の元首として君臨するとか、27歳の今の僕でも御免蒙りたいことで、68歳のおじいちゃんにはとても耐えられないでしょう。この将来設計がとどめの一撃となったのも頷けますね。反乱を起こした共和国を齢100歳で制圧したりするなんてすっげーいやだ。考えたくもない。

 今回の白眉はリュウセイさんの将来設計で間違いないと思うんですが、一方、いまいち狙いが分からないのが勝治のおばあちゃん。あまり存在感がなく、言ってることにもあまり意味がなかった(挫折を味わっても爺さん復活したし)おばあちゃんですが、あれには一体何の意味があったのか?

 今回のタイトルは「鎮魂歌!リビング・レジェンド・グッド・ナイト」。ケンの「ゾンビ一家だ」という台詞からも察せられるとおり、これはおそらく、ゾンビ映画「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」のもじりでしょう。そこから考えると、死んでは生き返る勝治と、死んだと思わせて生き返ったじいちゃん。そして、確実に死んでるのに、それでもまだ化けて出てくるおばあちゃんと、「勝治ファミリーの死と復活」に今回はテーマ的な一貫性があったのかもしれません。でも、コレ、おばあちゃんがゾンビじゃなくて幽霊だから分かりにくいんですよね。おばあちゃんもゾンビだったらバッチリ繋がるんだけどなあ。やっぱりおばあちゃんの存在がしっくりこないです。

【オススメ度:★★☆】


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【感想】カブトボーグ第7話「涙の素パスタ!オーバー・ザ・レインボー」
あらすじ




 授業中、筆箱を理科室に忘れてきたことに気付いたリュウセイさんは、隣の席の女の子、板里網子(いたりあみこ)からエンピツを借ります。放課後、エンピツを返そうとしたリュウセイさんですが、勝治とケンに呼び止められ、エンピツを返しそびれてしまいました。

 その後、ロイドさんの店に寄ってみたリュウセイさんたちはビックリ。ロイドさんによって「大型回転寿司店釜山港、開店記念バトル」にリュウセイさんが勝手にエントリーされてたのです。リュウセイさんの相手には天才美少女ボーガーベネチアンが当てられていました。

ロイド「話がキュウーキョだったもので、キューキョこの企画を思いつき、キューキョポスターまで作ってしまったのデスヨー。御迷惑でしたカー?」
リュウセイ「迷惑でしょ! 勝手にバトル組まされてんだから!」

 玩具アニメの主人公でバトルを組まれて本気で嫌がるのはリュウセイさんくらいだと思います。ちなみに、勝治やケンではなく、なぜリュウセイさんが選ばれたのかというと、単なるクジです。(余談ですが、この時のロイドさんのセリフ、「サーテ、誰になるかナー? ウィーットゥ。……リュウセイクン」は神がかったウザさです。とても言葉では表現できないので実物を見てください!)

 この勝負の勝者には、オーナーから回転寿司食べ放題がプレゼントされると聞き、勝治とケンは「オレたちリュウセイのセコンドとして参加するから!」と、食べ放題する気満々です。




 対戦相手のベネチアンは、ロイドさんいわく、「イタリア貴族の末裔で、ルネサンスの技を使って次々と強豪ボーガーを倒した実力者」らしいです。

 ベネチアンへの闘志に燃え、公園で素振りに励むリュウセイさん。すると、そこへ、当のベネチアンが現れます。




 リュウセイさんはベネチアンの体から何かの臭いを感じてベネチアンを嗅ぎまわりますが、ベネチアンは「イタリア貴族の臭いを嗅ぐとは失礼な! 不愉快です、帰ります! ボンゴ〜レ〜♪」と言って帰っていきました。リュウセイさんは、板里網子から借りたエンピツと同じ臭いをベネチアンから嗅ぎ取っていたのです。




 ベネチアンを追いかけたリュウセイさんは、彼女が古びた小船の中に入っていくのを見ます。




 ベネチアンの正体は、やはり板里網子でした!




 彼女の家は、小さな妹と弟、寝たきりの父、母、祖父、祖母という家族構成。彼女の家は貧しく、板里網子はオリーブオイルをかけただけの素パスタを作り、みんなに食べさせていたのでした。素パスタを無理して美味しそうに食べる妹と弟。彼女は今度のボーグバトルに勝って、家族に回転寿司をプレゼントすると誓います。そんな姿を見たリュウセイさんは板里網子に同情し、戦意を失ってしまいました。




 バトル当日。やはり、リュウセイさんの士気は下がったままです。こんな状態ですから、リュウセイさんのトムキャットレッドビートルも、ベネチアンのサンタルチアポマドーロルネッサンスに押されてしまいます。そんな不甲斐ないリュウセイさんに対し、ケンと勝治は……




勝治「わかった、僕たちに回転寿司を食べさせたくないんだね!」
ケン「オレたちの友情ってこんなものだったのかよ―!」

 勝治は親友が元気がなくても寿司のことしか考えず、ケンに至っては寿司が食いたいばかりに親友を殴ろうとする有様です。そんなリュウセイさんに、ロイドさんは「悔いだけは残さないようバトルしなければイケマセーン」とアドバイスします。

 リュウセイさんはその言葉を受けて、ベネチアンに尋ねます。

「一つだけ聞かせてくれないか? おまえ、本当にイタリア貴族の末裔なのか?」

 ベネチアンの話によると、彼女の先祖はベネチアの貴族で、コロンブスによるアメリカ発見の20年後、アメリカに移住しようとしたけど、嵐に遭って日本に流れ着き、それから日本で暮らしていると言うのです。苦労してきたんだな……、とリュウセイさん。




 そんな彼女に、リュウセイさんは同情の視線を送ります。さて、ここからは両者のセリフをそのまま見ていきましょう。


ベネチアン「そんな目で私を見ないで! 私を同情の目で見ています!」

リュウセイ「……ベネチアン! キミに日本の偉い人の言葉を贈ろう」

ベネチアン「日本の偉い人の言葉……?」

リュウセイ「同情なき同情は同情とはいわず、同情する同情を同情という

ベネチアン「(嬉しそうに)どなたのお言葉ですか?」

リュウセイ「……柳川どじょう!

ベネチアン「…………! し、失礼な! イタリア貴族へどじょうの言葉を贈るなんて! イタリア貴族への屈辱です〜〜〜!!!!!」

リュウセイ「そ、そんなに怒ることないだろー!」

ベネチアン「そんなに怒りますー!!!!!」

リュウセイ「……大人しく負けてやろうと思ったけど、その顔見ちゃあ負けるわけにはいかない!



 戦意を失ったリュウセイさんが、イタリア貴族にどじょうの言葉を贈ったら、イタリア貴族がキレたので、リュウセイさんも戦意を取り戻しました。何を言ってるのか全く分かりませんが、本当にこの通りの内容なのです。




 ベネチアンの必殺技「ベネチアンパスタクラッシュ」を、「なにくそっ!」と堪えて、リュウセイさんは新技「ピクルスバージニアシャイン」を繰り出します。戦意の戻ったリュウセイさんを見て、ケンと勝治も、

ケン「いつものリュウセイに戻ったぞ!」
勝治「いや! いつも以上かもしれない!」

 と喜んでいます。結果はリュウセイさんの勝ち。勝治とケンは無事に回転寿司食い放題にありつきました。一方、ベネチアンこと板里網子は、やっぱり家で素パスタを食べていました。

 しかし、板里網子は「惜しくも負けちゃったけど、今度は焼肉屋で食べ放題バトルを企画しましょう」と意外とタフな様子。弟や妹たちも、「でも、お姉ちゃんの素パスタが一番だ!」と声をあわせ、その様子を見ていたリュウセイさんは、「焼肉食べ放題のバトル、いつでも受けて立つ!」と誓うのでした。


解説

 7話はカブトボーグ始って以来の最大の狂気です。ベネチアン(=板里網子)の経済的困窮が発覚して悩むリュウセイさん。そして、周りから「オレたちの友情のためにスシを食わせろ」と、歪んだ友情を押し付けてくるケン・勝治。両者に対し、リュウセイさんはいかなる答えを見出すのか……?

 ここで、視聴者が普通に考えられるのは、

A、板里網子に勝ちを譲る。ケン、勝治には後で説明し、分かってもらう。(人間的には正しいが玩具アニメの主人公としては弱い)

B、どんな相手にも全力で当たる。それがボーグ魂。板里網子もガチ勝負で破る!(玩具アニメの主人公として正しい行動。しかし、ケンと勝治がアレなので、視聴者は納得できない)

C、全力勝負、板里網子を破るが、ケン、勝治を説き伏せて、寿司食べ放題は板里網子に譲る(真っ当、かつ、王道。板里網子に同情心を悟らせなければ、もっともキレイにまとまる展開)


 この3つですね。まあ、普通に考えりゃCです。誰だってそーする、僕だってそーする。ロイドさんも「悔いだけは残さないようバトルしなければいイケマセーン」とか言ってるし、そうなりゃ、こりゃCだろう。Cしかねーだろ。

 しかし、答えは……

D、リュウセイさんが同情して柳川どじょうの言葉を贈ったら、ベネチアンがキレて、リュウセイさんも逆ギレしてベネチアンを倒す。

 おいおい、そんな答え、分かるわけねーだろ(´^ω^`;)


 いや、これはホンモノの狂気だと思いました。だって、何言ってんのかまったく分かんねーんだもん。これほど意味が分からなかったのはカブトボーグといえど初めてです。リュウセイさんの葛藤はどこに行ったんでしょうか。ロイドさんのちょっといいセリフとか何の意味があったんでしょうか。

 これは初めて見たとき唖然としちゃいました。積み重ねてきた心理的葛藤を惜しみなくドブに捨てて、それであたかも解決したかのようにしらばっくれています。普通に考えたら、こんな酷い答えを出したアニメはクソアニメ決定なんですが、今回の場合は……

1、聞いたこともない「偉い人の言葉」を出してくる(言葉の意味が分からない)
2、さらにそれがどじょうの言葉(どじょうの言葉って意味が分からない)
3、イタリア貴族がどじょうの言葉に怒る(なぜイタリア貴族がどじょうの言葉に怒るのか意味が分からない)
4、リュウセイさんが逆ギレする(とにかく意味が分からない)


 と、一つずつを取ってみても全く意味の分からない事柄4つも連続しているため、良い悪い以前に、とにかく唖然とするしかないんですよね。凄まじい狂気です。これは素晴らしいとしか言いようがなかった。


【総論】

 積み上げてきたものをドブ川に投げ捨てて、さらにその上からうんこをかけるかの如き凶行。7話は浦沢義雄脚本の中でもかなりキツい怪作です。超オススメ。

【オススメ度:★★★】


第7話 1/3



第7話 2/3



第7話 3/3



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